天穹ノ彼方の錬星郷「ソラカナ」攻略まとめ Wiki

錬成術師登録名『エンジョウ・ヒナ』。タナトスの洗脳支配から解放された後、彼女の身元調査が行われたが、結果、彼女の出生に関する
記録は一切発見されなかった。特殊な遺伝子配列を持つことなども併せ、彼女はタナトスが細胞から作り出した試験管ベイビーだという結
論が下された。報告を受けた本人は、周囲の人間が逆に驚くほどに、平然とそれを事実として受け入れ、けろりとした顔をしていた。

高いエナジー適正、身体能力、知能指数、それらすべてを含め、生まれる前からデザインされ、タナトスの尖兵として生きることが決定づけ
られていた。それが炎城雛という存在である。タナトスの呪縛から解放された後、自身の出生の由来を知った雛は、一言「もう少し大人っぽ
い身体にしてほしかった」とぼやいた。自身の正体や生まれた理由など、彼女にとっては大した意味を持たない。なぜなら彼女の――『炎城雛
の人生』はこれから紡がれるのだから。『タナトスの傀儡』であった存在を振り返る必要など、どこにも存在しない。

自然出生ではなく、作為的に調整された遺伝子から生み出されたデザインチャイルドである雛は、潜在的に体内に爆弾を抱えている可能性が
高い。だが、本人はそのリスクを踏まえたうえで、毎日を精一杯謳歌している。目につく全てが興味深く、人との語らいはいつだって新鮮味
に溢れている。多くの不幸が降り注ぐ世界で、ただ生きることに全力でいる――それは尊く純粋で、だからこそいつ傷つくかもしれない危うさ
も孕んだ心の美しさ。

人と違うこと。それがどれほど恐ろしいことなのか、雛はまだ実感できていない。隣を歩く人より命が短いかもしれない。あるいは逆に、同じ
速さで老いることができないかもしれない。彼女は人として生きていくうちに、その恐怖を知るだろう。それを知ったときこそ、彼女の心の強
さが試される。どれほど成熟した精神を持とうと、大人びた態度をとろうと、彼女が人間としてまだまだ未完であることに、違いはない。