天穹ノ彼方の錬星郷「ソラカナ」攻略まとめ Wiki

錬成術師登録名『ブノワ・レヴィ』。
白煌都市の貴族の末席に名を連ねる家に生まれた。
貴族の一部には、当主に男性しか選ばれないという因習が継がれており、彼女の家もそうだった。
そのため、第一子として彼女が生まれた際には失望が先立ち、
付けられた男性的な名の裏には暗い感情が見え隠れしている。
彼女の次な男子の跡継ぎが生まれたことで家族の興味は彼女から完全に無くなったが、
彼女はその状況でも、無価値に扱われる不遇を覆すべく、
いつしか誰からも羨望を浴びる存在になるのだと強く誓い堂々と振舞う。

失望の声と見下しの視線を浴びながらブノワは育ってきた。
心が傷つき、挫けても仕方のない環境で、けれど彼女が抱いた想いは『見返してやりたい』という反抗心だった。
勝手に生んで、勝手に失望して、それでどうして自分が悲しまなければならないのか。
いっそ、逆に自分が誰からも称賛される立場に立って、自分を馬鹿にした連中を鼻で笑ってやる――
そんな強さを胸に、彼女は自分の輝ける場所を探す。
錬成術をはじめ、多くの分野に手を出してきた彼女は、数年前に立ち寄った劇場で、これだと思える道を見つけた。
それは…。

ブノワはいつか自分の作劇した舞台で多くの称賛を浴びる日を夢見る。
不幸のどん底から幸運を掴む物語を好む彼女の作品は、面白みに欠けるといくつもの酷評を浴びる。
だが、そんな雑音に彼女は耳を傾けない。
自分の作りたい物語は幸せに満ちたものだから、それ以外は自分の物語じゃなくなる。
真っ直ぐな彼女は、ただただ一直線に幸せな物語を書き続ける。
彼女がそこにこだわる理由は、たった一つ。
幸せな物語は、見る者を幸せにするはずだからという、その想い。
いつしか、全ての人にこの幸福を認めさせてみせると、彼女は誓う。

幸せでないことのほうが世の中には多い。
だからブノワは悲劇を嫌う。
どうして涙を流すような悲嘆を物語の中にまで求めるのか。
せめて物語の中でくらい、これ以上ない幸せを味わいたい、感じて欲しい。
そう思う度、彼女の脳裏に数年前見た、小さな幸せの物語が思い浮かぶ。
陳腐な内容で、客もまばら……
けれど、それにブノワは魅了された。
だから彼女は悲劇を否定する。
どれほど優れた物語でも、それが悲劇として終わるのならば、そんな脚本は破り捨てる。
彼女の想いは日々強まり、それはもはや、悲しみへの憎しみにすらなっていく。