天穹ノ彼方の錬星郷「ソラカナ」攻略まとめ Wiki

ホワイトデーを間近に控えた三月のある日。
ぺルセは珍しく、大好きなセレーネからの『夕飯の誘い』を断り、デスクに噛り付いていた。
その目は虚ろで、都市間の航空網を延々と眺め続ける……
上司である『空乃光莉』は徹夜続きで疲弊したぺルセの姿に危機感を抱くと、彼女に休暇を強制し、とある男に連絡を取った。
ぺルセは上司が不貞腐れつつも男と嬉しそうに通話する姿を横目に溜息を吐き、目の前の仕事に集中し始め――
二時間後、無事に拉致されて自宅へと連行された。
そして、その日の夜。
ぺルセは生まれて初めて、セレーネに説教された。

人間の無自覚で独善的な悪意によって生み出されたファルシュⅢ……
ぺルセは、この世界の残酷さを生まれながらに理解している。
だからこそ、ぺルセは自分の周りで生きている人間の善性に気づき、幼気な心はそれを受け入れた。
彼女の生きる場所は彼女にとっての『幸福の象徴』となり、
その陽だまりを守るためならだ自身が傷つくことを厭わない。
クローンとして誕生し、まだ幼い彼女は純粋だからこそ必死に生きて――
その結果、とんでもない量の仕事を抱え込み、
不器用でひたむきな努力によって結果を出し続けている。

過去、ぺルセは『オリジナル』であるセレーネに対して複雑な感情を抱いていた。
しかし、冷たい人工灯で照らされた実験室で、唯一の繋がりであるセレーネは、
ぺルセの存在意義となり、ある意味で彼女の心を救っていた。
だからこそ、ぺルセはセレーネを姉として慕い、家族絵あることを望む。
そして、日の光の下で過ごすようになった今のぺルセは『お姉ちゃんが大好きだ』と、胸を張って告げることが出来る。
なお、彼女の上司がその純心を利用し仕事で彼女の徹夜が続いている時はセレーネに通報して帰宅を促されていることを、
彼女はまだ知らない。

明るい場所で生きることを許されて、ぺルセは多くの『初めて』を経験した。
男と出会って、一緒に笑った。
仕事をして、褒められた。
楽しいことをたくさん知って、意識せず笑顔を浮かべた。
初恋には夢中になって、『お姉ちゃん』と一緒にチョコレートを作った……
すべての経験がぺルセにとっての宝であり、希望となる。
幼い心は一度好きになった相手に見返りを求めない献身を行い、護ることを決意させる。
周囲の人間がそんな彼女のことを守りたいと思うのは当然のことだった。
彼女は人に愛され、守られている……
それを、彼女はもう、知っている。