天穹ノ彼方の錬星郷「ソラカナ」攻略まとめ Wiki

あらゆるものが終わることを宿命づけられた戦乱の時代
も、新しい翼に慣れず怯えと不安に震える時代も、あるい
は過ちを繰り返し人同士で何かを奪い合う時代をも超えて
今がある。若き世代は未来への希望にあふれ、その輝きを
標として広大なる空を迷うことなく行く。そして時には、
幸福を忘れぬようにと戯れる。そんな世界が、現在が、人
が――辰祁は愛おしくてたまらない。故に、彼女自身もそ
の時代に寄り添う。この愛すべき人に甘い菓子を送る日に
も、彼女は全身全霊を以て喝采するのだ。

絶望の終末を乗り越えるために人が足掻いた時代があっ
た。その時を生きた人はどうしようもないくらいに可能性
を持っていなくて……だから、可能性などという条理に頼
らず、自らの力で未来を切り開いた。過酷故に鮮烈だった
時代は、いくつもの強い光を宿した星を生んだ。四瑞が応
竜の号を与えられた彼女が長く歩んできた道程の中でも、
それは間違いなく特別な時代で……けれど、彼女は振り返
らない。形も価値観も違うが、それでも輝きは未来にもあ
って、そこに貴賤の差などないのだから。 

空の歴史が始まって、人は新しい生活圏にすぐ慣れること
は出来ず、いつまた終末の時代が背後から追いついてくる
のかという恐怖と不安に竦んでいた。それでも、中には震
える足で懸命に歩く者もいた。そうして新しい歴史を紡ぐ
礎を築いてきた者たちへの敬意と憧憬の念は尽きることが
ない。そういった者たちの想いは、今を生きる人間へと確
かに継がれている。日々を満たす笑顔こそが、そのなによ
りの証左だと信じる辰祁は、だからこそ喜びに魂を震わ
せ、全ての人への愛を叫ぶのだ。 

人は過ちを繰り返す。それでも前に進むことは決してやめ
ない。長い時を見守ってきた彼女だからこそ、その気高さ
と尊さを知っている。傷つきながらも未来を願える強さこ
そ、なによりも美しい輝きであるということも。その光
は、少女たちが自身の胸に秘めたる想いをチョコレートに
込めて大切なものへと贈る日にも変わらず――むしろ普段
よりもずっと強く辰祁の心を焦がす。決して優しいことば
かりではない世界、傷つくことばかりの世界、それでも魂
を曇らせることはない。そんな姿を祝福すべく辰祁は叫ぶ。
ハッピーバレンタイン、と。