※ネタバレ注意
#spanend #spanadd とある朝、彼女は心に芽生えた想いの数を指を折って確かめる。 #spanend #spanadd 恋を知り、友情を得て、悔しさを覚え、愛を囀り、喜びを謳歌する。 #spanend #spanadd 『グリモア』のページを捲る度に同調する記憶に、彼女は暫しの間没頭した。 #spanend #spanadd 捧げ失った一部を開けば、いつでも愛しい男の声が聞こえる。 #spanend #spanadd それは彼女にとって、代えがたい幸せだった――永遠に添うことを願うほどに。 #spanend #spanadd
#spanend #spanadd 感情と一部の記憶の返還。その奇跡が起こったのは、古い祝日のことだった。 #spanend #spanadd セレーネは目覚めと共に、涙を落とす。差し込む朝日が水滴に輝きを宿し、弾ける。 #spanend #spanadd その瞬間、彼女の脳裏に聞きなれた声が響いた。 #spanend #spanadd 『捧げろ』と囁く声は、普段とは違う意味を持って、セレーネに訴えかけた。 #spanend #spanadd "彼女"からの求めは、セレーネが"愛しい"と思う人間との邂逅だった。 #spanend #spanadd
#spanend #spanadd 旧時代の遺物『グリモア』は思考する兵器である。 #spanend #spanadd "彼女"は対価に誠実であり、心を奪い、記憶を喰らい、 #spanend #spanadd 手にした存在が一番大切にするモノを飲み干し、その分の力を所有者へ与える。 #spanend #spanadd そんな『グリモア』が、ある日、驚愕する事態が訪れる。 #spanend #spanadd 祭りの夜に捧げられた、純粋なエナジーに彼女は魅了され、暫しの間、革製の表紙に熱を宿らせた。 #spanend #spanadd どうすればもっと、あの対価を得られるのか――思考した結果、彼女は例外的に、奪い取った一部を所有者に返却する。 #spanend #spanadd それが撒餌となることを期待して。 #spanend #spanadd
#spanend #spanadd "彼女"が『お気に入り』にしたのは、赤子の時から自らのエナジーを与え続け、変異させた少女『セレーネ』が初めての存在だった。 #spanend #spanadd そして二つ目は、セレーネに愛を注ぐ男から得られる最も純粋で強大なる対価――『グリモア』はそれを得続ける為に、 #spanend #spanadd 自身の一部を用いてでもセレーネを守ろうとする。 #spanend #spanadd 『グリモア』はセレーネに力を与え、捧げられる対価を味わい、舐めるように愛でる。 #spanend #spanadd 兵器故に人の脆弱さを知らず、過ぎたる力がセレーネの寿命を削ることも理解せず―― #spanend #spanadd
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