天穹ノ彼方の錬星郷「ソラカナ」攻略まとめ Wiki

エナジー受容体の異常により、常に大気中から大量のエナジーを取り込み、
際限なくエナジー浸食を引き起こしてしまうアキにとって、毎夜ベッドで目を瞑る瞬間が恐怖そのものだった。
身体の内側を虫が這いまわるような激痛と頭の中を思い切り揺さぶられるような吐き気を
何錠もの薬を煽って和らげ目を瞑ると、どうしても不安が生まれる。
果たして、このまま眠りの闇に落ちる自分は、再び戻ってこられるだろうか、と。
そんな不安すらも、薬で誤魔化して、アキは身体を抱え込むように丸くなるのだった。

収穫祭を起源とする仮装祭りの夜。
自分が生きる事で精いっぱいのアキにとって、祭りを楽しむ余裕なんてなかった。
それどころか、明るく装飾された街並みや行きかう人々の笑顔は、彼女の心を逆撫でしていく。
自分の苦しみも、恐怖も関係なく、世界はこんなに光に満ち満ちている……そう考えると、どうしても自分の胸の中の暗い感情は首をもたげる。
嫉妬や羨望に染まる自分の心を恥じて俯く彼女は喧騒の届かない独りになれる場所を探して彷徨い歩く。

ハロウィンの賑やかさは、アキの心の薄暗さをより明確に浮き彫りにする。
勝手な嫉妬や羨望、そこから生まれる醜く浅ましい心を抱えて隠すように彼女は華やかな街並みから逃れるように速足で歩く。
そんな彼女の手を握って連れ戻す人物がいた。
アキは『彼』に疎ましげな視線を向けるが、どこ吹く風と流されてしまう。
妬むくらいなら混ざればいい。羨ましいなら踏み出そう。
軽々しく告げる彼の手を振りほどきたいのにできないのは何故なのか。
アキは、その理由が分からないフリをするのだった。

現実離れした仮装で街が溢れたハロウィンの夜。
人ではない者を装う人々の波の中で、ふとアキは自分の存在が曖昧になっていくかのような錯覚に襲われる。
ハロウィンは死者が帰ってくる日でもある－－そんな話を思い出して、自分の周りにいる人々が実は死者の群れで、
自分もその中に飲み込まれてしまったのではないか、などという考えも浮かぶ。
けれど……そんな彼女の手を引く『彼』から感じる温もりは決して死の冷たさではなく、アキはそっと、つないだ手に微かに力を込めた。